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2008.03.27

猫撫で草紙 その18

taramamaです。
ただいま、「猫マニアッ句」4周年記念特別企画としてエッセイ「猫撫で草紙」
をお届けしています。7年前のお話です。次元が錯綜するためコメントレスは
最終回まで書けませんが、ご感想お寄せくれればうれしいっす。
「猫マニアッ句」復活は5月頃の予定です。
ご了承よろしくお願いしまーす。


<その18>                                                                                                                    
猫はそれからというもの朝ごはんの後にも足繁く通い詰め、「にゃおにゃお

にゃお」と鳴いてリビングに上がり込み、当たり前のように炬燵にもぐって寒さ

を凌いでいる。

琉金も無事に年を越して、ひらひら付きの鉢の中でゆらゆら尻尾を動かしなが

ら元気に泳いでいる。が、元気そうなので餌を少し多目に入れてみるとひっく

り返ってしまい、相変わらず油断禁物だ。

餌といえば猫の方も好き嫌いを顔に出すようになってきて、ネコ缶もカリカリ

もあれこれ吟味しなくてはならなくなった。

スーパーのペットコーナーには犬猫用の食料がぎっしりと並び、そのパッケー

ジのどれもにカメラ目線の犬や猫の写真が印刷されている。マグロ味、ビーフ

味、鰹に鯵、鶏ささみや蟹、白身魚のテリーヌまで、さまざまにペット様のお口

に合うように趣向を凝らしているのが楽しい。うら若き青年が、カゴいっぱいに

一つ一つ違う種類のプチ缶を入れてレジに並んでいるのを見かけると、

「どんなふうに猫っかわいがりしているのかなあ」

と、ついついその横顔に見とれてしまう。


立春を過ぎた頃から、再び琉金がひっくり返るようになった。餌遣りはストップ

して金魚鉢を玄関からリビングに移す。たみちゃんが金魚にどう反応するか

を心配していたのだが、暫し様子を見てみるとそれほどのことでも無さそう

だった。琉金はひっくり返ったりじっとしたままだったり、横になってエラを

盛んに動かしたりしていた。ほとんど毎日そのほとりを散歩しているK川では、

体長五十センチ以上もありそうな鯉たちが悠々と泳いでいる。きっと水道水が

良くないのだと思い込み、空のペットボトルを持って、そのK川で水を汲んで

来ることにした。川の水に変えてみると、そのせいかどうかは判らないが少し

泳ぐようになる。鉢の底の方でじっとしている時もあったがひっくり返ることは

なくなり、餌も口を大きく開けて貪るように食べる。もしかしたら今までのは

『金魚の冬眠』だったのかと思わせるような回復ぶりだった。


あらゆる生き物にとって、冬の終わりから春先は細胞が新しく生まれ変わるた

めに、またその身体が環境の変化に適応出来るように、さまざまな代謝が起き

ているのだろう。食欲旺盛になった琉金を猫と一緒に鉢の上から覗き込み、

琉金のその小さな身体いっぱいに漲らせている生命力の強さを目の当たりに

する。


しかしその回復も、十日間の束の間だった。再び微動だにしなくなった琉金は

底に沈みっ放しになり、時々『手』のようにエラをピクピクさせていたが、三日後

の夕刻、死亡を確認した。

束の間の、元気過ぎるほどの十日間は一体何だったのだろうか?

臨終を前に命の限り生を全うして、燃え尽きようとした琉金の意志だったのだ

ろうか? 

そしてその意志の強さは動物の本能なのか? 

傍で眠っていたたみちゃんを起こしてその背中を撫でながら金魚の死を伝える

と、彼女は「にゃああ」と、寝ぼけながらも一声鳴いた。

三月、暦の上では啓蟄の日であった。
 

つづく                                                                      


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ご好評(?)につき(はづきさん、コメントありがとうございます)、
"にっこにこ"たみちゃんパート2!
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Comments

亡くなった母は金魚とか小鳥をかわいがっていて、猫は大嫌いでした。
なんだか嫌な記憶があったようです。
金魚や小鳥のお墓を小さな庭に作っていたっけ。

命あるものはいつか終わりを迎えるもの。
生き物たちの終わり方には、潔さとか強さを感じることがありますね。

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