« 猫撫で草紙 その20 | Main | 猫撫で草紙 その21 »

2008.04.07

猫撫で草紙 Intermezzo

<猫撫で草紙 Intermezzo>


2001年、春、わたしは迷子になりました。お腹がすいてのども渇いてふら

ふらでした。あまりふらふらだったので、今まで何処に住んでいたのかも

忘れてしまいました。

5月1日朝、ふらふら歩いていると、グレイの猫が斉藤さんのお家から出て

来たのに会いました。たみちゃんと呼ばれているその猫は、本当のお家に

帰るところのようでした。一日中、わたしは斉藤さんちを見張っていて、たみ

ちゃんは斉藤さんのおばさんと仲がいいのを知りました。

5月2日、花壇の横で昼寝の準備をしていたたみちゃんに

「あんた、野良ちゃんだったら斉藤さんちでごはんもらってみたら?」

と教えてもらい、夜遅くなってから勝手口に陣取って「ウーウー」鳴きました。

10分間くらい鳴き続けてようやく気がついてくれたのか、勝手口のサッシが

やっと開きます。ちょっとこわくなったので逃げちゃいました。でも、やっぱり

空腹には勝てないので、もう一度勇気を振り絞って鳴きました。

「ウーーーウーーーーウーーーーウーーーーー」、

「ウーーーウーーーウーーーーウーーーーウーーーーー」。

おばちゃんがサッシを開けるとわたしはどうしても逃げちゃいます。5回も6回

もそんなことを繰り返していたらやっと「猫が来たんだ」と気がついてくれた

みたいで、

「たみちゃん?」

とか呼んでます。暗がりでおばちゃんの顔を見つめていたら、わたしがたみ

ちゃんではないことがわかったようです。勝手口の外、小さいお皿にカリカリ

をのせて出してくれたので、わたしは窓が閉まってからささささっとお皿に

駆け寄りカリカリッと食べました。急いで食べたので味はわかりませんでし

た。食べてしまってからまた隠れました。すると窓を開けておかわりを置いて

くれました。また、窓が閉まってから食べました。美味しかったのでもっと食

べたくなりました。今度は隠れないで待っていました。窓が開いて家の中に

入りました。キッチンの床に置かれたお皿にいっぱい入ったカリカリを食べて、

また、おかわりして、お水もいっぱい飲みました。嬉しかったのでおばちゃん

の顔をぺろぺろ舐めました。いっぱい舐めてからまた、カリカリをいっぱい食

べました。

  
カリカリをいっぱい食べて、お水もいっぱい飲んで、おばちゃんの顔をいっぱ

い舐めてようやく落ち着いたので部屋の中を歩きました。気分が良いので

「アッアーーー」と鳴きました。すると、斉藤さんのおじちゃんが仕事から

帰ってきました。おじちゃんはたみちゃんとは違う猫が部屋の中で寛いでい

るのを見て驚きました。おじちゃんとおばちゃんはわたしのことをたみちゃん

の飼い主さんであるBさんちの猫だと思っているようです。三軒隣のBさんち

ではたくさんの猫を飼っているので、その中の一匹がたみちゃんの真似を

して遊びに来ているのだと思っているのです。たみちゃんは斉藤さんちに

毎日遊びに来る「通い猫」です。時々、Bさんに内緒でお泊りもします。

結局、その夜は「おうちにお帰り」と言われて外に出されました。さっきまで

降っていた小雨もやんだので、わたしはまた寝床を見つけにうろうろ出かけ

ました。

 
5月3日、近くの駐車場で一夜を明かし、朝になってから斉藤さんちに行きま

した。6時ちょうどにたみちゃんがやって来ました。たみちゃんは毎日、

朝ごはんを食べにやって来るのです。わたしも一緒に朝ごはんをいただきま

した。

その日からわたしは「たら」と呼ばれるようになりました。たみちゃんが

「実家」に帰るとき、わたしも一緒に外に出されます。わたしは行くところが

ないので斉藤さんちのベランダとか庭とか勝手口をうろうろしていました。

うろうろしたり、屋根から百日紅の木をつたってジャンプしたり、顔が傷だら

けの野良猫と喧嘩したりして右前足を擦りむいてしまいました。家の中に

入れてもらいたくて、おばちゃんが窓を開けた時はすかさず「メーーメーー

メーーメーー」と鳴いて訴えました。わたしがどこにも帰らないのを知って

おばちゃんはその日から泊めてくれるようになりました。


おじちゃんとおばちゃんはどうしたものかと思い悩んでいました。たみちゃ

んはきちんとBさんちに帰るけれど、わたしはずっと寝泊りするようになった

からです。1週間ほど過ぎてからBさんちに電話して相談しました。そうした

らBさんはすぐにわたしを見にやって来て「うちにもよく似た猫がいるけれど、

この子はうちの子じゃないですよ」と言うので、やっとおじちゃんとおばちゃ

んは決心したのです。わたしは「斉藤たら」になりました。その日早速、

病院に連れて行かれて注射を打たれました。体重は2,2kgでした。

年齢(月齢)は7ヶ月ぐらいとされました。蚤の薬をもらいました。猫トイレも

買って来てくれました。屋根付きです。2001年、5月の第2日曜でした。
  

という訳で、おじちゃんは tarapapa、おばちゃんは taramama になりまし

た。動物のお医者さんに「できるだけ家の中で飼ったほうがいいですよ」

と言われたので、わたしは内猫、たみちゃんは外猫ということになりまし

た。そういうことになってもわたしとしては外で遊びたい時もあります。

隙を狙って外に飛び出してしまうと taramama は必死になってわたしの

後を追いかけ、探しまわりました。また、わたしに飲み薬を飲ませたり

目薬を差したりするのが下手なので毎日がてんやわんやでした。


たみちゃんはお家に入れてもらえなくなったので不服そうでした。それでも毎

日通ってくるので勝手口の軒下にベッドを作ってもらい、日がな一日過ごして

いました。梅雨の時期、たみちゃんがそこで香箱組んだりお昼寝しているの

を見て、わたしは何となく申し訳ないなあと思ったものです。


夏になりました。避妊手術も済ませ、わたしの容態も安定してきたので、

たみちゃんは時々お泊りするようになりました。真夜中、ゴミ箱をひっくり返し

たり流しの棚やエアコンの上に跳び乗ってみたりして一緒に楽しく遊びまし

た。たみちゃんとこんなに仲良くなったのに実はお別れの日が近づいていた

のです。

  
たみちゃんはアメショー混じりの5歳(♀)の別嬪さんで、Bさんにはとても可愛

がられていました。けれど、Bさんは不在がちだったし、また、他の猫さんたち

と折り合いが悪かったりしたようでほとんど外で暮らしているようなものでした。

Bさんが言うには「一匹狼みたいな猫」ちゃんなのだそうです。

そして7月の最後の日曜日、そのBさんちがたくさんの猫共々突然引越しして

しまったのです。その日もたみちゃんはいつものようにやって来て朝ごはんを

食べた後、軒上や庭先で寛いでいました。でも、次の日からは二度と現れま

せんでした。taramama は寂しがりました。taramama とたみちゃんはちょうど

1年間のお付き合いだったそうです・・・・・・


  **  ***  ****  *****  ****  ***  **  

まさかの重掲です。プロフィールページの文章(by たら)であります。
物語の進行上、ここで改めて掲載させていただきました。


<運命の第21話につづく>

たみちゃんと遊んでた頃のたらリン
Fh000002s25
ちゃっかりたみちゃん用ベッドで寛いでます


« 猫撫で草紙 その20 | Main | 猫撫で草紙 その21 »

Comments

たらちゃんはタイミングよく登場してたみちゃんの後釜に入り込んでしかも住み込み猫、運の強い猫です。

kazutyanさん、こんにちは。
「猫撫で草紙」をお読みいただきありがとうございます。
taramama はお仕事一段落ついたので(実はすんごく忙しかったらしいです)、
もうすぐコメレスも書くようになると思います。


>運の強い猫です。

確かに!

Post a comment

(Not displayed with comment.)

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/14998/40802437

Listed below are links to weblogs that reference 猫撫で草紙 Intermezzo:

« 猫撫で草紙 その20 | Main | 猫撫で草紙 その21 »

October 2017
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

さいとうけいこピアノソロCD 

  • あさきゆめみし↓ [Sold Out]
  • 天使の梯子↓ [Now On Sale] ◇TOWER RECORDS で購入 ◇カワイふじみ野ショップ(TEL 049-262-7778)にてもお取り扱いしております
My Photo

動画 you tube

  • 猫じゃらし
  • 伊達巻
  • トンボじゃらしLove

吟遊ピアノ you tube

  • お香箱
  • 平成申年MonkeyTonk

猫マニアッ句 ~猫の歳時記2009(春編)

  • 090419kitamadowoakeru
    猫マニアッ句 ~猫の歳時記2009~(春編) 写真俳句ブログにて2009年1月~2010年1月までアップしたものをまとめてあります。 春の季語で詠んだものを春編としました。

猫マニアッ句 ~猫の歳時記2009(夏編)

  • 090703kyuurimomi
    猫マニアッ句 ~猫の歳時記2009~(夏編) 写真俳句ブログにて2009年1月~2010年1月までアップしたものをまとめてあります。 夏の季語で詠んだものを夏編としました。

猫マニアッ句 ~猫の歳時記2009(秋編)

  • 091102ringo
    猫マニアッ句 ~猫の歳時記2009~(秋編) 写真俳句ブログにて2009年1月~2010年1月までアップしたものをまとめてあります。 秋の季語で詠んだものを秋編としました。

猫マニアッ句 ~猫の歳時記~2009(冬編)

  • 091225sanbika
    猫マニアッ句 ~猫の歳時記2009~(冬編) 写真俳句ブログにて2009年1月~2010年1月までアップしたものをまとめてあります。 冬(および新年)の季語で詠んだものを冬編としました。

FC2ブログ

  • Yoduri
    2008年FC2blogにてアップした記事をまとめてあります。全106枚
無料ブログはココログ