猫撫で草紙 その20
SPRING IS HERE


今、まさに、2008年の SPRING IS HERE
次々に花咲き乱れ、旬の菜っ葉や柑橘類もどんどん出回ってますね。
SPRING IS HERE といえば渋いスタンダードナンバーですが、
リッチー・バイラーク「エレジー~ビル・エバンスに捧ぐ~」に収録されている
この曲はジャズワルツのリズムにも関わらず濃厚な春愁…
そして、7年前の春愁へ・・・・・・・・・・
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<その20>
ありがたいことに花粉症ではないので、春の散歩は楽しい。
近所をうろつく野良猫たちの他にも、その春は散歩コースで出会う猫の顔見知
りが増えた。いつもたみちゃんに袖や裾にすりすりされているからなのか、
洗濯機で洗うだけだとそういう匂いは完全に取れないのか、無人野菜売り場の
ほうれん草や大根の隣で昼寝をしていた毛艶の見事な黒猫が、ちゃんと目を
覚まして台から降り、
「まいどありがとうございますうー」
と言わんばかりに足元に擦り寄って来る。
前方に、道路を横断しようとしている三毛猫を認めてその場にしゃがみ込むと、
お姫様のような鈴付き猫もその場をそそくさと走り去ることなく、こちらの呼びか
けに応えて鳴き返してくる。
開花した桜や、川面に散りばめられて下流へとゆっくり流れていく花びらは
いつものコースを優しい色で華やかに彩り、遊歩道を跳ねる子雀たちには至近
距離まで近付ける。花見のシーズンが終われば初夏のような暑さにもなった。
やっと暖かくなったのだと『冬が嫌いになった』身には「しめしめ」という思いが
こみ上げてくる。しかしその反面、たみちゃんは外で過ごすことが多くなり、
夜も泊まりに来る回数が減り、春と呼ばれる季節の中で些か塞いだ気分にも
襲われ始めていた。
いつも一緒に過ごしていたたみちゃんも、やはりウチの猫ではないのだ。
トイレまで用意したのにウチで飼う訳にはいかないのだ。
たみちゃんにとっては都合のいい遊び場所以外の何者でもなく、私たちは彼女
の気が向いた時の遊び相手に過ぎない。
それはそれで気が楽ではあるが何とはなしに満たされない思いが膨らんで来
ていた。こんなに懐いているのだからいっそのことBさんに頼み込んで……
とか何とか考えても、結局たみちゃんは誰の猫でもないのだ。
イタリアでは『野良猫』に当たる言葉は無く、その代わりに『自由猫』という
意味で『ガットリベロ』と呼ぶそうだが、そう、まさに彼女は、一応飼い猫で
あるに関わらず、『自由猫』。
誰にも所有されている訳でない、しかしそれでいて野良猫のように人間嫌いで
はなく、寧ろ人間のことが大好きな猫……
猫……
猫……
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Comments
猫には猫好きの人と嫌いな人を見分ける本能があるような気がしますね、我が家ののびたも来客者をちゃんと見分けて好きな人には応接間まで挨拶に出ますが、嫌いな人には寄り付かずさっさと外に出てしてしまいます。
Posted by: kazutyan | 2008.04.04 at 04:40 PM
たらママは花粉症ではないのですね。うらやましい。
強度の花粉症の私は、この時期猫をベランダに出してやるのにも重装備、帽子、めがね、マスクです。
お願いだから、外へ出ないで~。
なんだか思わせぶり~な終わり方で、続きが気になりますね。
Posted by: はづき | 2008.04.03 at 10:14 PM